「ECB(欧州中央銀行)の金融政策」は金融市場に大きく影響を与えます。このような中央銀行の金融政策は、「どのようなものが、どのくらいの規模で行われており、次の焦点はどこなのか」を、正確に把握しておく必要があります。
ここでは、現在ECBはどのような金融政策を行っているのか、どのようなことが焦点となるのかを、わかりやすく解説いたします。

 

☝現状ECBは、「金融緩和」を行っている

ECBは現在、市場のお金の量を増やしたり、金利を引き下げることによって、景気をよくしようと促す「金融緩和」を行っています。
詳細の内容は下記で説明しますが、まずは前提として、「経済活動を活発にさせようする策を行っている」ことは前提として押さえておきましょう。

正確には現在は、この金融緩和を縮小し、金融引き締めへ移行し始めている状態といえます。

 

 

現在のECBの金融政策

ではここからは、「現在のECBの金融政策」についてみていきましょう。
大きく分けて、「量的緩和」と「金利政策」の2方向から金融緩和を行っています。
それぞれの「数字や時期」を把握しておくことにより、新たな発表があった際の判断材料とすることができます。

 

☝マイナス金利(預金ファシリティ金利):-0.4%

預金ファシリティ金利は、ECBの下限政策金利に当たり、事実上のECBの政策金利と言われています。

金融機関が手元資金をオーバーナイトでECBに預け入れる際の「中銀預金金利」であり、民間銀行は多くの資金を手元に残しすぎると、少しづづその資金が減っていってしまうため、市場への貸し出しが積極的になりやすいと考えられます。

2014年6月にー0.1%に引き下げられたあと、
14年9月にー0.2%、
2015年12月にー0.3%、
2016年3月にー0.4%と徐々に引き下げられてきました。

また、今後この「マイナス金利がどのように引きあげられるのかも市場の焦点」となると考えられます。

 

☝主要リファイナンス・オペ金利:0.00%

リファイナンス金利は、民間銀行が中央銀行から借り入れるオーバーナイト以外の通常の資金に対して課せられる金利のことです。

☝限界貸付ファシリティ金利:0.25%

限界貸付ファシリティ金利とは、金融機関が急な資金需要が生じた場合、オーバーナイト資金をECBから借り入れる際の金利のことです。ECBの上限政策金利に当たりあす。

 

☝量的緩和(資産購入プログラム):月額300億ユーロを2018年9月まで買い入れ

ECBの量的緩和とは、長期化する低インフレのリスクに対処するために、公的部門と民間部門の資産を購入するものです。
中央銀行自ら市場の資産を買い入れることで、市場に出回っているお金の量を増加させ、景気の活性化を目指します。

2015年1月に導入決定以降、買い入れ金額が拡大したほか、買い入れ時期も延長されてきました。

現時点では、2018年9月末で終了するとし、徐々に買い入れ金額も縮小されています。
しかし、声明文では「(状況次第では)規模拡大や機関延長を行う用意がある」という文章が残されており、再度延長される可能性が残されています。

なお現在、ECB購入した債権が償還された場合、その資金はそのまま再投資が行われています。この再投資の終了に関しては現時点では明確に示されておらず、この量的緩和終了後も継続されます。

 

ECBの金融緩和の推移

上記で説明した金融緩和は、以下のような変更を加えながら行われてきました。
しかし、いつまでもこの金融緩和を続けていくわけにはいきません。
現在は「よくなってきた景気をうまく調整するために、どのようにこの金融緩和を終了させていくか」が焦点となっています。

 

☝2014年6月:マイナス金利導入を決定

2014年6月に中銀預金金利が0.0%からー0.1%への引き下げが決定され、「マイナス金利」が初めて導入されました。

☝2014年9月:マイナス金利が拡大

2014年9月に、-0.1%とされていた中銀預金金利がー0.2%へとさらに引き下げられました。

☝2015年1月:量的緩和導入決定

月額600億ユーロの資産買い入れプログラムの導入が決定します。この時の2015年3月から2016年9月末までとされていました。
なお、中銀預金金利はー0.2%のままです。

☝2015年12月:量的緩和の期間延長&マイナス金利幅の拡大

2016年9月までとされていた量的金融緩和の期間が、2017年3月末までに延長しました。
これと同時に、-0.2%であった中銀預金金利がー0.3%まで拡大します。

☝2016年3月:量的緩和の規模拡大&マイナス金利幅の拡大

買い入れ額を月額600億ユーロかあら、月額800億ユーロに増額しました。さらに、マイナス金利幅をー0.3%から-0.4%に拡大します。

☝2016年12月:量的緩和の規模縮小&量的緩和の期間延長

2017年3月までとされていた量的緩和を、2017年12月まで継続することが決定します。
ただし、買い入れ金額を月額800億ユーロから600億ユーロに縮小しました。

☝2017年10月:量的緩和の規模縮小

2018年1月から、それまで月600億ユーロである買い入れ額を300億ユーロに減額、期間を2018年9月末までに延長

資産購入プログラムは2018年1月以降、毎月600億ユーロから300億ユーロに減額し、2018年9月末で終了するとしていますが、「必要であれば、その期間を過ぎても続ける」とし、市場の動きに合わせて量的緩和の終了時期を変更させることによって、市場への影響を和らげています。

この際には、「オープンエンド(終了時期が定められていない)」ことをドラギ総裁が繰り返し強調しており、総じてハト派ととらえられたと言えます。

 

 

今後の「出口戦略」が注目される

ECBは1つの目標として、インフレターゲットを2%前後としています。安定したインフレ状態を維持することで、良好な経済成長を実現することができるという理論のもと成り立っています。

ECBは上記のような金融緩和を目標としていくなかで、実際に2017年初頭にはユーロ圏消費者物価指数の前年同月比が2%付近に近づくことができました。

つまり、「目標を達成した」といえるため、どこかでこの金融緩和を徐々に縮小させ、金融引き締めへと以降していくことになります。まず直近では「いつ・どのように金融緩和を縮小するのか」を注目することになるのです。

  • 量的緩和の追加は停止されたあと、その資金の再投資は縮小されるのか
  • 現状のマイナス金利はどのタイミングで、どのように引き上げられていくのか
  • 実際に縮小に移るのに、市場との対話を含め、どのような手筈を踏んで行われるのか

などがまずは注目されることになります。

ECBの金融政策は、為替市場やFXなどだけでなく、先物取引を含め世界中市場全体に影響を与えます。
ECB理事会などの時には、しっかりと注目しておきましょう、