2018年7月31日の「日銀金融政策決定会合」にて、「現状の金融緩和の枠組み強化」が行われました!今回はなぜこれを行ったのかや、その変更点をわかりやすく解説します。

詳しいこれまでの金融政策については「こちら」をご覧ください!

 

 

 

 

☆目標とする物価に全く届かないうえに、今回の展望レポートで、物価見通しを引き下げるため、対応が必要になった。


日銀は2013年4月から今まで経済を活性化する「金融緩和」を行っており、何度も追加の金融緩和を行っていますが、目標とする物価目標には届いていません。

今回の金融政策決定会合と同日で発表された、日銀の正副総裁を含む9人の政策委員が示す経済・物価情勢の展望である「展望レポート」において、さらにその達成時期を遅らせることとなったため、対応が必要になったのです。

 

 

◇物価上昇率見通し:前回→今回

今回の展望レポートでは、2018年~20年の物価の見通しをすべて引き下げています。さらに、目標としている「2%」を達成するのは、まだまだ時間がかかるという想定をしているのです。

前回発表時 今回発表時
2018年度 1.3% 1.1% (下方修正)
2019年度 1.8% 1.5% (下方修正)
2020年度 1.8% 1.6% (下方修正)

 

 

 

★現行の金融緩和による副作用に対応する策を打った

薬にも「副作用」があるように、経済を活性化させようとする「金融緩和」が長く続けていくなかで、「緩和による副作用」出てきてしましいました。ただし、現在その金融緩和の効果は、目標としているところには届いていません。

そこで、目標達成のために金融緩和は継続するものの、その「副作用」を軽減できるように内容を修正したのです。

 

◇副作用①:金利が下がり銀行の「融資」などによる利ザヤがとりにくくなっている。
◇副作用②:マイナス金利や指値オペにより国債の変動に限界が生じており、国債の市場機能が低下している

ゼロに抑える長期金利を上限の0.2程度と2倍にすることで国債市場の活性化を狙っていつつ、80兆円を目途としているマネタリーベースの拡大を、「市場状況に合わせて柔軟に対応する」こととしました。

 

◎発表原文

※「【かっこ】」内が今回加筆・修正された部分です。

10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。【その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし】、買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、【弾力的な買入れ】を実施する。

 

 

 

 

◇副作用③:ETF購入により、日銀が間接的に多くの株式を保有している企業が出てきて価格変動に異常をきたす銘柄が出てきた

日本銀行の金融緩和の一つで、ETFを購入していく中で、「日銀が間接的に多くの割合を保有する銘柄」が出てきてしまいました。
そのような銘柄をこれ以上出さないために、購入方法や購入銘柄を柔軟にし、日銀の保有による価格形成の「ブレ」を起こさないようにしました。
購入する金額は維持しつつ、TOPIX連動型ETFの買入れ額の拡大を決めたり、柔軟に銘柄を買えるとして、購入する銘柄の配分を変えたのです。

 

◎発表原文

※「【かっこ】」内が今回加筆・修正された部分です。

ETFおよびJ-REITについて、保有残高がそれぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。【その際、資産価格プレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。】

 

 

 

 

 

★金融緩和を縮小せず、「物価目標の達成」を目指すことを明言した。

日銀の金融緩和において、以下のような点が指摘されていました。

  • 上記のような「副作用」が出てきてしまっている
  • 物価が目標に達成する見込みすらも立たないことから、達成できない原因は別にある
  • FRBやECBは、すでに金融引締政策や、金融緩和の縮小に移っている

これらのことから、「日銀は物価の目標を達成しないまま、金融緩和政策の縮小に移る」という思惑が出できました。

日銀は今回から、「フォワードガイダンス(金融政策の方針を前もって表明すること)」を導入し、そこで2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」と明記しました。

金融緩和の継続や目標達成が危ぶまれるなかで、「日銀は物価の目標達成を諦めず、金融緩和を継続する」ことを市場に改めて主張したのです。