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「議決権」「経営参加権」とは?株主の保有割合の権利をわかりやすく解説!

株主の権利である「議決権」について詳しく理解していますか?会社は株主のものであるため、株式を保有していれば、その割合によって、さまざまな権利を利用することができるほか、従業員として働いていても、この株主の決定に従わなければなりません。

ここでは、株主の権利である「議決権」「経営参加権」について、意味や割合ごとの権利、影響などをわかりやすく解説致します。

 

 

議決権とは?わかりやすく解説

株主総会

株主総会

議決権とは、「株主総会での決議に参加して、票を入れることができる権利のこと」です。株主になることにより、この権利を得ることができます。

株主総会では、会社の運営や方針、経営など様々な重要事項が株主の間で話し合われます。
このときに、議決権を持つことによって、それぞれの話し合う議題に関して、株主それぞれが賛成や反対というような意見を入れることが可能になる「株主の権利」の1つで、「経営参加権」と言われます。

現在では、株主総会に出席できなくとも、ハガキやインターネットでこの権利を使用することができるシステムも採用しています。

 

☝1株1議決権の原則

株式

株式

議決権は「1株あたり1つの議席兼を持つ」ことができます。もっと平たく言うと、「お金をたくさん出している人ほどえらい」のです。

つまり、その企業の株式のうち、保有している割合が高ければ高いほど、強い影響力を持つことができるようになります。つまり議決権は、株主1人1票というものではありません。「企業は株主が出資してできるもの」のため、より多くの出資をしている人の意見が採用されやすいようになっているのです。

 

 

 

☝上場企業は「単元株」以上の株式に議決権が発行される

上場市場とは

上場市場とは

証券取引所に株式を上場させているの場合、「最低この枚数以上で売買ができる」というような、最低の売買単位が決められており、「原則1株だけ買う」というようなことはできません。(これを「単元株」といいます。)株式を1株でも持っていれば株主にはなれますが、議決権を持つには、この単元株以上を持つ必要があり、この単元株ごとに議決権が割り振られています。ちなみに議決権のない株式を「無議決権株式」といいます。

 

 

 

議決権比率を詳しく解説

議決権比率

議決権比率

上記のように、議決権は発行されている株式の割合が高いほど、多くの意見を反映させることができます。さらに、「M&A」などにも、この議決権の話題が出てきますので、ここでは簡単にどのくらいできるのかを解説していきます。

なお、これは法律上の決まりで話をしていますが、上場企業の場合多くの株主がいるため、この限りではありません。

 

☝株式の100%保有

株式を100%保有していると、当然ながら株主全員の同意とする権利を持ちます。
絶対的な経営状態です。ベンチャー企業などでは、代表取締役=100%株主である場合も多く、この場合その社長がすべて自分の意思で決定することができます。

 

☝株式の3分の2以上保有

M&A

M&A

株式の3分の2以上を保有していれば「特別決議」を単独で採択することができるようになります。特別決議では、事業の譲渡や解散、合併などの重要事項を決定する決議であり、それを単独で通すことができます。

例えば、特別決議において、株式併合を行い、ほかの株主が保有する株式を1株以下の議決権を持たない状態まで持ち込み(スクイーズアウト)、自分自身を100%株主に戻すことも可能です。

さらに3分の2以上保有していれば、すべての株式の譲渡の制限をするような、特別決議よりもさらに重要事項を決める特殊決議を決めることもできるため、非常に協力な力を持ちます。むしろ中小企業のオーナーは、この3分の2以上を保有しておくべきとも言えます。

 

 

☝株式の50%以上を保有

上記のように、議決権は「発行している株式の割合」で使用できます。つまり、「株式の50%を保有していれば、株主の中では誰よりも多い議決権・発言力を持つ」といえます。

過半数が賛成すれば可決する「普通決議」を単独で通すことができ、普通決議で可決される、取締役の選任・解任、監査役の選任、取締役・監査役の報酬決定、計算書類の承認などが可能です。要は、株式の半分以上を持っていれば社長や役員を解雇することも可能になるのです。

言い換えれば50%さえ持っていれば、これらをだれかに単独で行われることを阻止することができます。しかし、単独で特別決議を通すことができるわけではないため、絶対的な権力を持つことができるといえません。

 

 

☝株式の30%以上保有

拒否

株式の3分の1以上もっていても、具体的に何かを決定することができるわけではありません。しかし、3分の1以上保有していれば、採決に3分の2が必要な特別採択を、ほかの株主が全員賛成しても、自分が反対すれば可決することができません。つまり、「株式の3分の1以上持っていれば、重要事項を通すことはできないものの、意に反するものを阻止することができる」のです。

 

 

☝株式を10%以上保有

株式を10%以上保有すれば、なにかの事情があった場合ときに、この訴えをもって、会社の解散を請求することができます。もちろん、いつでもその請求ができるわけではなく、「やむ負えない事情があったとき」「会社の存在が危ういとき」などに限られます。

 

☝株式の3%以上保有

株式の3%を保有していれば、株主総会の招集をすることができます。さらに「帳簿の閲覧の請求をすることができます」。つまり、3%を持っている株主は会社の全体の経理に関する資料をすべて見ることができるになります。ほかにも「役員解任の訴え」なども可能になるため、3%を持つ株主は脅威とも言えます。

 

☝株式の1%以上保有

株主提案権とは、取締役に対して、議案を会社に提出できる権利です。なお、全体の議決権のなかで、10%以上の賛成を得られることができなかった場合、それ以降3年は同じ内容の提案をすることができません。

 

 

☝委任状争い(プロキシーファイト)が発生することも

主は、自身が持つ議決権を、「代理人」に委任することができます。上記のように、議決権の割合が高ければ高いほど、重要な意見があるほか、「接戦の対立」となることもあり、そういった際には、「対立者同士が委任状を争いあう」状態となることがあり、これを「プロキシーファイト」といい、委任状闘争、委任状争奪戦とも訳されます。

ここでは詳しくは扱いませんが会社の提案を否決したいときなどにも、このプロキシーファイトが発生します。

 

☝会社は株主のもの

上記のように、株式は保有するごとに「議決権」を得ることができ、出資をすればするほど高い影響力を持つことができ、合併や買収などの様々な重要事項の判断をすることができます。

つまり、正確には会社は社長のものではありません。株式会社に努める以上しっかりと「株式」という概念について理解を深めておくようにしましょう。

 

 

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