【図解】特別買収目的会社(SPAC)とは【わかりやすく】
最近、よく聞くこの特別買収目的会社(SPAC)とはどのようなものでしょうか。
わかりやすく図解を交えながら解説していきます。
特別買収目的会社(SPAC)とは
定義
特別買収目的会社(Special Purpose Acquisition Company)とは、その会社自体に事業はなく未公開企業(未上場企業、ベンチャー企業、または事業)を買収するためだけを目的に設立された会社のことで、所謂ペーパーカンパニーのようなものです。主にアメリカで活用が急増しています。英語の頭文字をそれぞれ取って、SPAC(スパック)と呼ばれています。
IPO(新規株式公開)によって資金調達を行うが、その時点ではどのような企業を買収するかは決まっていません。そのためブランク・チェック・カンパニー(白地小切手会社)とも言われています。
SPAC自体が上場することで先にお金を集めておき、その集めたお金を使って魅力的な未公開企業を買収することで、未公開企業をSPAC経由で上場させることができます。
登場人物は主に3者で、SPAC設立の発起人となるスポンサー、SPACに出資する投資家、SPACに買収される未公開企業です。
メリットとデメリット
3者それぞれのメリット
〇スポンサー
発起人であるスポンサーは、資金調達を先にでき、後にターゲットとなる未公開企業の株式売買で大きなリターンを得られます。
〇投資家
投資家は、SPAC自体が上場しているため市場からSPACの株を買うことで少額で未公開企業に投資ができます。
未公開企業(プライベートエクイティ)はその名の通り株式を公開していないため、どんなに有名であったり、規模が大きかったりしても一般的な個人投資家はその企業には投資できません。その企業の関係者や機関投資家、富裕層など一部の人たちしかできなかった投資がSPACを通して可能になります。
投資家保護のルールがあり、買収が上手くいかなかった場合は株主が投資したお金は返還されます。
〇未公開企業
買収ターゲットとなる未公開企業は、「資金調達ができる」や「IPOにかかる時間が短縮される」ということがあげられます。
過去にアメリカで起きた粉飾決算事件などを契機に企業の内部統治や投資家保護の法律強化によりIPOが難しくなっていました。また、2019年に発生した新型コロナウイルスCOVID-19の影響もあり、未公開企業の上場に障害が出ていたこともありました。
それらを解決するのにSPACを経由した上場プロセスは、魅力的な方法の一つとされています。
・短期間で大きな資金調達
・上場プロセスの短縮化(スピード)
デメリット
・SPACは上場後、24か月(2年)以内に未公開企業を買収しなければなりません。
・未公開企業への買収は情報が不透明なためリスクが高いです。
最近ですと2020年6月、トラック自動車のEVメーカー「二コラ・モーター」がSPAC経由でNASDAQに上場しました。株価は一時93ドルまで上昇していましたが、9月に虚偽広告の疑いにより16ドルほどにまで値を落としました。
このように、未公開企業への投資リスクが浮き彫りとなり、またSPACに対しての懸念もあり法律の強化が進んでいるようです。
SPAC株式公開と資金調達額
ここ10年の推移は以下の通り、昨年の2020年が急増しています。
(2021年は2月までのデータ)

SPAC Analytics 社のデータを基に倍ブル!が作成
日本ではこのSPACを利用した上場が認められていませんが、日本の未上場企業をターゲットとするSPACによりアメリカの株式市場に上場するケースも出てくる可能性が高そうです。
また、ソフトバンクグループ<9984>の創業者の孫正義氏がSPACを2社ほど申請との報道がありました。まだまだ、ブームは続きそうです。
日本でもこの仕組みが可能となれば、大きな資金が動くこととなるので経済の発展やマーケットの拡大に寄与すると思います。今後の展開に注目しましょう。